写メパニック☆

「幸!湯冷めするから早く上着着なさい!」
「わかってんよ!うっせぇなぁ〜」

ゴっ!!!!!!

「いってぇ〜!何すんだよ!」
「親に向かってなんて口の利き方してるの!まったくこの子は成長しないんだから…」

(んだよ……いちいち殴んなっつーの!)

——————-パシャ☆

「………………?パシャ?」
「そ〜〜しんっと!」
「送信?って何を……」
「うふふ、あの子に湯上がり幸の写真送っちゃったvv」
「…………は?あの子って………まさか!!!つーーか、いつの間にメルアド交換したんだよ!」
「いいじゃない、友達になったんだからvv」
「んだよ、それ……!はぁ……もうわけわかんねぇ……;」

 


 

「オッス」
「あ、ハリー!オッス!」
「ちょっと、こっちこい!」
「…………?うん」

 

 

「なぁ……昨日、うちのオフクロから写メ届かなかったか?」
「あ!届いたよvvお風呂上がりのハリーの!早速待ち受けにしちゃったんだvv」
「ま、待ち受け!?」
「うんvv」

オレの写真を待ち受けに!!?
しかも、なんかやたらと嬉しそうだし……そりゃ、悪い気はしねぇけど……じゃなくて!

「それ、削除しろよ」
「え?どうして?」
「カッコわりぃだろ、そんなん!髪だってセットしてねぇし、不意だったから間抜け面してんし……」
「そんなことないよーー!凄く格好いいよ!それにセクシーだし可愛いしvv」
「かっ……!!!!可愛い言うな!いーーから今すぐ消せって!」
「やだーー!貴重な写真だもん!お風呂上がりのハリーなんて……!」
「そんなん……」

………まてよ。
そっちがその気なら……

「………わかった。じゃ〜〜条件出してやる。オマエもオレに風呂上がりの写メ送れ!」
「……………えーーー!」
「そしたらオレもそれを待ち受けにしてやる!」
「そ、そんなの恥ずかしいよ……」
「お互い様だろ?……できねぇんだったら、今すぐ削除しろよ。」
「……………」

くっくっく……
我ながらイイアイデアだぜ!
これならこいつも諦めて削除すんだろ……!

「…………………わかった」
「…………ん?」
「こ、今夜送る!だから消さなくてもいいよね?約束だよ!」
「へ?………ああ………」
「……じゃあね!」

…………マジで?

 

 

あいつ、マジで写メ送ってくる気なのか……?
いや、だって風呂上がりだぞ?女にとっては問題だろ、それ……
けど、あいつそんなにあの写真消したくないのか……?

……………………
……って、ニヤけてる場合じゃないだろ、オレ!

〜〜♪〜〜〜♪〜〜

「うおっ!マジで来た!」

……………………いや、「やっぱり無理」ってメールかもしれねぇしな!
うん、そうだ。ないない……よな……

♪ピロリン♪

『約束の写メ送るね。恥ずかしいから誰にも見せないでね!』

あいつ………本当に撮ったんだ………

— ドキドキドキ —

 

 

 

 

 

「うわっ!!!」

ヤバイ……マジでヤバイ………

「んだよ、これ…………可愛過ぎだっつの………!」

ナイス!ナイスだオレ!
つーか、棚からボタモチ?

「これを待ち受けに………うわ、やべー……こんなん誰にも見せてやんねぇ……」

………………誰にも?

そうだよ、こんな待ち受けにしてるの、学校のやつらとかバンドメンバーに見られたら何を言われんのか………!!!!
…………特に佐伯と井上!!!

「携帯、ゼッテェ死守だな!」

オレは携帯に向かって誓いをするように握り拳を作った。

 


 

ひょんなことから手にすることになったあいつの写真。
夜寝る時、朝目覚めた時、曲を作る時、顔が見たいなって思った時………

オレは携帯を開くクセがついていた。
学校行けば本人に会えるけど、クラスは違うし家だって近くない。
そんなオレには、この写真の存在がスゲー嬉しくて……

気がつけば、それは『宝物』になってた。

 

 

「のしん!なんか最近、妙に機嫌がいいよな……なんかいいことでもあったのか?」
「わ、井上!」

バンドの練習始める前に……と携帯を取り出していたオレは、近づいてきてた井上の存在に、飛び上がりそうになるくらい驚いた。

「な、なんだよ!なんもねーよ!だから早くあっち行け!」
「携帯……?何、彼女からのメール待ちとか?」
「ちっげーよ!第一、あいつはまだ彼女じゃ……ねぇし……」
「ふ〜〜ん……『まだ』ね……なんか怪しいな……」
「うっせ!いーからさっさと準備しろよ!」

あっぶねぇ……危うく見られるとこだった………!
…………携帯、鞄に入れとくのは不安だし、身に付けといた方がいいか………

とりあえず、ジーンズの後ろポケットに携帯を突っ込み、自分の位置に立つ。
マイクのセットをしてると、背後に気配がした。

「携帯ゲッ〜ト!……どれどれ………」
「あーーーーーーーー!」

♪ピロリン♪

「井上!テメェーーーーー!!!見るなーー!!」
「おお、これは……!」
「ふざけんなよ!返せ!!」

奪い取るように携帯を取り戻すも、既にそれは井上に見られた後だった。

くそ、見られた!
井上のヤロー……!!!

「アツアツだね〜〜!いつの間にこんな関係になったんだよ」
「んだよ、こんな関係って…!」
「こ〜〜んな姿の写真撮れるなんて、そういう仲じゃなきゃ出来ないだろ?……まったく。男になったなら報告してくれたっていいのにさ♪」
「…………!ち、ちげーーーよ!これは撮ったのを送って貰っただけだ!」

……つーか、なんでそんなこと井上に報告しなきゃならねぇんだよ……!

「そうなのか?でもこれ、明らかに誰かに撮って貰ったって感じだよな?のしんじゃないとしたら、誰に撮って貰ったんだろうね?」
「んなこと知るかよ…!家族にでも撮って貰ったんだろう?くだらねーこと言ってないで、音合わせ始めっぞ!」

井上にはそうは言ったものの、本当は誰に撮って貰ったものなのか気になり出していた。
明日、直接聞いてみるか。

 

 

 

「あの写真?あれは遊くんに撮ってもらったんだよ」
「遊くん!?」
「前に話したことなかったっけ?隣のお家に住んでる、小学生の男の子!」

小学生の……男の子だあ?
小学生っつったって、男には変わりねぇだろ……!
そんなヤツを、風呂に入るような時間に部屋に入れてるっつーーのかよ……?

………オレは、部屋に入ったことすらねぇのに…………

「私の部屋の窓の目の前が遊くんの部屋の窓になっててね、声をかけると屋根伝ってこっちに来てくれるんだ。」

目の前が部屋の窓!?
んだよ、その羨ましいシチュエーションは!!!

「それで、写真撮るのお願いしたの。自分じゃ上手く撮れなかったから……」
「ふーーん……」

だからってそいつに頼むことねぇだろ?
家族にだって頼めるじゃねぇか……!

「遊くんね、私が困ってるといつも助けてくれるんだよ!凄く優しいイイ子なの!」
「…………」

……いつも、かよ。
いつも、そいつと過ごしてるのかよ……

「この間もね、ヨモギ取ってきた!っていうから、一緒にお団子作ってみたんだけど、それがまた……」

なんでそんなに嬉しそうな顔してんだよ……
そんなにそのガキといるのが楽しいのか……?

オレといるよりも、ずっと………!!

「…………もう、いいっつーーの!そんなヤツの話!」
「え………」
「じゃあな!」

ーーーーーーーー聞きたくない。
もう、これ以上………

一緒にいたくても限界がある。
だから、写真を見ると一緒にいるような気分になれた。オレの細やかな幸せだった。

だけど、オマエは。こんな一瞬じゃなくて、ずっとそばにいるヤツがいて……

たった1枚の写真で舞い上がってた自分が、バカみてぇだ……

「…………っこんな写メ、消して……」

『画像を削除してよろしいですか? はい・いいえ』

「……………」

『はい』

「…………そんなこと、できるわけねぇだろ………」

くっそ……なんでオレばっかり、あいつのこと好きなんだよ……!!
あいつはいつもボケボケしてて、誰にでもヘラヘラして……
きっと、オレのことなんて『特別』だなんて思ってない。

だたの友達、だ。

当たり前なんだけど、虚しくて、悲しくて、どうしようもねぇ………

ぐちゃぐちゃな頭を掻きむしろうと、後頭部に手をかけようとすると、背後に気配がした。

「………ハリー!いた!」

顔を真っ赤にして、息を切らせたあいつが、オレの元に走り寄ってきた。

「……んで、オマエ……」
「はぁ、はぁ……だって、ハリー怒っていなくなっちゃうから……」

走ってきたせいなのか、必死なのか……泣きそうな表情をしている。
その顔を見て、少し胸が痛んだ。

「わ、わたし、余計なことベラベラ話しちゃって……ハリーに嫌な想いさせちゃって、ごめ……」
「ストップ!」

オレは指先であいつの口を塞いで、その先の言葉を制止した。

「オマエは何も悪くねぇ。だから謝んな」
「でも……」
「オレが勝手に怒ったんだ。だから、気にすんな……」

オマエが何をしようと、オレには嫉妬する権利も束縛する権利もない。
だから、オマエがそんな顔することねぇんだ……

「気にするよ!……だってやだもん……私のせいで、ハリーが……」
「……………」

オレは、今にも零れそうな涙を浮かべた瞳をじっと見つめた。
さっきまであんなにイライラしてたのに、そんなことは遠い過去のように、どうでも良くなってた。

今、目の前にいるその存在が愛しくて、この胸に閉じこめてしまいたい。
そっと、その肩に手を伸ばした。

「そうだ!!!」
「うおっ!!!」

思わず伸ばした手を上に挙げて、驚いた!のポーズになってしまった。

「ハリー、何かお願いごとない?」
「はぁ?願い………?」
「うん、そう!ハリーが元気になるように、何かお願い聞いてあげるよ!わたしが出来ることなら、なんでも!」
「な、なんでも……?」

一瞬、脳裏にモモイロな映像が流れそうになったのを、即座に押しのけた。

………つーーか、こいつ、突然何を言い出すんだ……?
なんでもって………「オレの彼女になってくれ」とかでも聞いてくれんのかよ?

「じゃあ……」

………いや、こういうのは願いじゃなくって、自分でどうにかすんもんだし……
「オレ以外の男を部屋に入れるな」とか?
それこそ「なんで?」って聞かれんよな……

あーーーもう、どうしたらいいんだよ……!!!
えっと、願い……ネガイ……したいこと……

「………オマエんち、行きたい」

………って、何言ってんだオレーーーーー!!!

………………………
そりゃ、行ってみてぇけど……

「え?そんなことでいいの?」
「いーーんだ!オレが行きたいって言ってんだからいいだろ!文句あっか!?」
「ううん、ハリーがそれでいいなら、いいけど……」
「じゃ、今度の日曜、10時に行くからな!もてなしの準備でもしとけ!」
「ふふ……わかった。用意して待ってるね」
「おう!」

ちっとカッコ悪ぃ気もすんけど……あいつの部屋、入ってみたいってのは、ずっと思ってたし……

…………そうだ!

あいつんち行ったら、今度はオレの手であいつの写真を撮ろう!
小学生のガキには撮れねぇ、スッゲーーー可愛いこいつの姿を!!

「……っしゃ!なんか燃えてきたぜーー!」
「ふふ、ハリーったら……」

オレは高ぶる心に呼応するように、歩みが弾んでた。

 

– FIN –


ハリーは、一体どんな写真を撮るつもりなんでしょね?(笑)
ほんっっっとうに長くてすみません(汗)
ここまで読んで下さってありがとうございました!

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