【1代目ネゥト】56~60話

neuto56【第56話】
13日早朝。私はまだ鐘の鳴っていない、誰もいないリムでぼんやり釣りをしていた。
……私……アルヴィンと付き合うことになったんだ……
昨日まで友だちだったのに……。だけど今は……
イマイチ実感とか、現実味というか。
とにかくわけがわからないとは確かか。
こうしてここにいたら……そのうち……
「おはよう、ネゥト!随分早くから仕事してるんだね!」
「あっアルヴィン!!!おっおは、おははっ…」
「あはは。どうしたの?そんなに慌てて。」
「そっそりゃ……だ、だって……」
や、やだ!!こんなに早く来るなんて!!
……なんだかアルヴィンの顔、まともに見らんないよ……顔も熱くなってくるし……
「ふふふ。嬉しいな~♪やっとネゥトが僕を異性として見てくれるようになったんだね。」
「なっ何よそれ~!!私はもともと……」
……と言いかけて、確かにちゃんと一人の男性としては見てなかったかもしれないと思った。
だって……私には……
やっぱり、これってフタマタになるのかな……


neuto57【第57話】
仕事終了の合図を待たずしてアルヴィンは仕事を切り上げてウルグを出ようとしていた。
「あれ?アルヴィンもう上がるの?」
「うん。今週と来週は夕食当番だから買い物行かないとね。じゃ、ネゥトまたね!」
そういうとアルヴィンは早々にリムウルグを去って行った。
「な、なによ!!付き合い初めたばかりの恋人残してちょっと冷たいんじゃない?」
今までだったら終了時間までおしゃべりしながら釣りをして、どっちがたくさん釣れるか競争したりした。
収穫物を物色したり、お互い別れる道まで一緒に歩いた。
「なのになんで付き合い初めた途端に先に帰っちゃうのよ~!!」
ぶちぶち文句を言いながら帰り道を歩いていると、後ろからまたあの集団が押し寄せて来た。
「げっ!!!忘れてた!!!!!」
気が付いた時にはもう遅く、私は男の集団に囲まれてしまった。
「だ~から遊びには行かないってば!!!」
……と、その集団の中から聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「その声……アルヴィン!?」
「ネ、ネゥト~~!!!」
私は周りを押しのけてアルヴィンの元へ行く。
「どっどうしたの?買い物に行ったんじゃなかったの?」
「うん。だけど明日になる前に会いたかったから…」
「そ…そう……///」
アルヴィンにそう言われて、自分が寂しがってたことに初めて気が付いた。
「明日デートしよう」
「うん。大通り南で待ち合わせね」
心が温かく満たされてくのを感じた。


neuto58【第58話】
14日。今日はアルヴィンと恋人になっての初めてのデートの日。
今日こそは遅れないように早起きして、しっかり身なりも整えて家を後にした。
これで今日はアルヴィンより先に着くはず!!………と思いきや、大通りに着くとそこにはすでにアルヴィンの姿があった。
「アルヴィン~~~!!!」
「…おはよう、ネゥト!!」
「な、なんで?私万全に家出て来たのに……アルヴィン早過ぎよ~!!」
「ごめんごめん。妙に早く目が覚めちゃって……」
「べ、別に謝ることじゃないけどさ……い、行こっか?」
恋人として二人で歩くのは今一慣れないな……昨日みたいに、まともに顔見れないし……
………と、ふいにゴタらしき人影を見かけた。
ど、どどどどうしよう!!こっこんな所見られたら……!!!
浮気者って怒鳴られるかもしれない……それに、アルヴィンとも気まずくなったりするかもしれない……
変な脂汗が一気に全身から湧き出て来た。
「どうしたの?ネゥト。顔色悪いよ。具合でも悪い?」
「う、ううん。大丈夫…」
やっぱり、こんなのいけないよ。ゴタという恋人がいながら、アルヴィンと……
なんの決着も…付いてないのに……


neuto59【第59話】
やっぱりアルヴィンとは付き合えないよ……
せめて、ゴタと別れない限りは……
「ネゥト。手つないでもいい?」
「へっ?」
そういうとアルヴィンはすっと左手を私に差し出した。
「う……うん…」
あまりにも唐突なアルヴィンの言葉に、私は何も考えられずにうなずいてしまった。
アルヴィンはすっと私の右手をとってキュっとにぎってきた。
その右手からアルヴィンの体温が伝わって……まるで気持ちまで一緒に流れてくるような、そんな感じがした。
ゆっくり見上げると、そこにはアルヴィンの優しい笑顔があった。何を話すわけじゃなかったけど、でも………
あたしは確かに幸せに包まれていた。
もう、色々考えるのはやめよう。
あの日、ゴタは私の手を拒否した。そして今、あたしの手を握ってるのはアルヴィン。だったら……それでいいじゃない。
このまま、アルヴィンを好きになろう。惹かれてる自分を受け入れよう。
「しっかり握って……離さないでね……」


neuto60【第60話】
アルヴィンが送ってくれると言うから、家に着くまでの距離を手をつないだまま歩いていた。
相変わらず顔の紅潮は引かないんだけど、でもあたしはアルヴィンの顔を見ながら歩いた。どうでもいいことを二人で話して笑って。家に着くのは本当にあっという間だった。
「着いたね。」
「うん。……じゃ、またね…」
なんとなく寂しい感じがしたけど、離さなきゃいけない。仕方ないことなんだけどね……
ところがアルヴィンが一向に力を緩めようとしない。
「……?アルヴィン……手…」
「離さないって言った。…覚えてる?僕達が付き合う前のことだよ。」
「えっ!!!で、でででも繋いだままって…そ、そりゃ嬉しいかもしれないけどっでもっせ、生活するのに困るし!!そっそれに…」
「ははは、冗談だよ。でも嬉しいんだ?」
「なっ!!!///じょ、冗談でそゆこと言わないでよ!!もういい!!すぐ離す!!!」
「ご、ごめん~!!もうちょっと!!つないでいようよ。ね?仕事場まで一緒に行こう?」
アルヴィンにからかわれたことはすっごく腹が立ったけど、惚れた弱味だ。ちくしょーー!!
「……仕事場まで……だけだからね」
仕事場までは遠いはずなのに、やっぱりあっという間に到着。ずっとつながれてた手を離した。
右手がスースーする。なんか、体の一部をなくしたみたいに変な感じがした。
そんな私の様子を見てたのか、アルヴィンが後ろから小突いて来た。
「そんなに手を見つめない!」
そう言ったアルヴィンの顔が真っ赤だったから、あたしは笑みが込み上げてきた。

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