04.新年

1日。
今日から新しい一年が始まる。
お母さんは「1年が早く感じる」とよく呟いているけど、わたしにとってはとてもとても長くて、もどかしい1年だ。 早く大人になりたい。
早くアレックさんのお嫁さんになりたい。
アレックさんと出会ってこの1年はずっとそんなことばかり考えていた。

窓の外を眺めながらぼんやり思いふけっていると、お父さんから声をかけられた。
 
「ルゥノ、ちょっとこっちに来なさい。」
「………なぁに?」
 
なんとなく、緊張感を感じる声色に少し近づきがたくなる。
 
「デイリーさんの元に通っていることだが…」
「も~またそれ?言っとくけど、なんて言われようとやめないからね!」
「……話を最後まで聞きなさい。この一年見てきて、ルゥノが本気だということはわかったよ。」
「じゃあ、なんなの?」
「デイリーさんの元に通うことは構わない。だけど、今から言う約束を守れるならね。」
「約束?」
 
お父さんの意外な提案に、緊張で体がこわばった。
 
「まず一つ目。デイリーさんが迷惑だと言ったら即座にやめること。」
「………はい」
 
考えたくないことだけど、大好きだからこそ嫌われたくない。
アレックさんの嫌がることは絶対したくない。
 
「二つ目、学業を疎かにしないこと。もし成績が落ちたら疎かにしていたとみなすよ。学校の行事の不参加は禁止だからね。」 「う……はい。」
 
これは地味にキツイな…アレックさんの試合があっても応援行けないかもしれないってことだもんね……
 
「三つ目、友達は大切にすること。ルゥノは夢中になると周りが見えなくなることがあるからね。好きな人のことだけじゃなく、自分の周りにいる人のことも考えて、優しくするんだよ。」
「…………………………………………はい」
 
正直、これは自信ないな……
アレックさんが目に入ると、他のことは何も見えなくなっちゃうんだもん。
 
………………ショクリくんのことも傷つけてしまった。
さすがのわたしも、申し訳ない気持ちがずっとある。
 
「どれか一つでも守れなかったら即座にやめること。いいね?」
 
それでも、アレックさんを好きなことはやめられないし、やめるつもりもない。 すべての約束を守ることは並大抵のことではないけど、でも、やるしかない!
 
「わかったわ!その約束、完璧に守ってやるわ!!」
 
アレックさんの優しい笑顔を思い浮かべ、誓うように、自分に言い聞かせるように、力強く答えた。
 

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